実績(11) 大追跡!米国の法案とYAの長〜い関係
平成9年5月27日、米国でファスナー品質法(FQA)が施行されました。
特許事務所というのは、特許に関する仕事だけしているわけではありません。
その一例としてYAでは、この法案の成立までの経過をなんと昭和62年から追跡してきたことをご報告します。

法案の背景
ことの発端は、劣悪なファスナーが原因で軍事用機材の事故が多発したことからです。
国防総省は、事故の原因となったボルトメーカーを特定する手段に迫られました。
そこで、ボルトのヘッドマークを登録させ、未登録の業者は国防総省の入札に参加できないとする制度を考案。
これには外国製品品閉め出しの理由になるとして、アメリカ国内のボルトメーカーや、自動車産業などの産業界も同調。
50人以上の議員がこの法案を提出したというのもうなずけます。
YAの地道な調査
この法案が成立したら、アメリカへの日本製品の輸出が制限されるかもしれません。
日本で様子をうかがっているよりも直接話を聞くのが一番と考え、YAの担当者がアメリカへ旅び立ちました。
まず昭和62年12月。保住晴弥がASME(米国機械学会)の担当者、R.マッキング氏と2時間にわたり会談。
これにより今後の見通しが得られ、また、ヨーロッパの各企業は登録が終わっていたのに、日本の企業はほとんど登録をしていない状態ということも判明しました。
次に渡米したのは青木康正です。
入所2年目、25歳の昭和63年11月。
フィラデルフィアのDISC(防衛産業用品供給センター)の担当官ジョン・マクガリック氏と会談。IFI(米国工業用ファスナー工業協会)のスコフィールド専務理事や、NFDA(米国ファスナー・ディストリビューター協会)や、専門誌『ファスナー・テクノロジー』に電話インタビュー。
一番の収穫は、FQAの草案者ステファン・F・シムズ氏との会談でした。
シムズ氏は、偽表示ボルト関連の下院調査委員長のジョン・D・ ディンゲル議員の、有能な政策スタッフです。
平成2年2月。再び渡米した保住晴弥もシムズ氏から、法案の成立時期などを情報収集。
そして、施行
平成9年5月27日のFQA施行を前に、YAから米国に5年間留学して、ウォッシュバーン大学法曹博士課程を修了した柴田研一は、NIST(米国商務省全米規格技術局)をはじめ関係機関を訪問。
米国の法律に明るく、既に関係する資料は取り揃えました。
政治の力学
法案というのは必ず元があります。本質を見抜くためにYAでは、法案の関係者達に直接会ってきました。
青木は語ります、「法案が作られてゆく現場を見られ、感動しました」。
今後も海外の法案についても背景をよく把握した上で、日本の企業がどう対応してゆくべきなのか提言してゆきたい、と我々は考えています。